もくじ
先週末は「関心領域」と「あぶない刑事」をはしごして温度差で風邪ひきそうな藤田です。
今回は、普通に映画を楽しんでいたら明らかに流れが変わる瞬間がある、最初の印象から一気に物語の色が変わってくる伏線や脚本が秀逸な面白い映画を集めてみました!
この手の映画を映画館で見ると、場内が一瞬ピリッとするというか、いま明らかに流れ変わったな……!?ってみんな背筋を正すのが空気で感じられたりしてその緊張感が楽しい。
この感覚を味わって欲しいから、大事なポイントのネタバレを避けて今回は紹介がいつにもましてふわっとしがちですがご容赦を。どんでん返しが面白い作品って、その紹介自体がある種のネタバレなんで人に勧めるのが難しい!!
お嬢さん
どんでん返しに次ぐどんでん返しで流れ変わったな!!??を何度も味わえる傑作サスペンス。耽美な画面や舞台設定と、とにかく泥臭く狡猾に何だってやって生き抜く奪い取る執念と生命への渇望のギャップがすごくてどんどん物語に引き込まれます。抑圧と支配に争う女性の解放の物語でもある、あるシーンで苦しめてきたものを踏み躙って破って飛び出していくシーンの爽快感がすごい!
オリエント急行殺人事件
まだ見たことない読んだことない方はぜっっったい何も調べないで映画を観るなり原作を読むなりしてほしい。新しい方(2017年のケネスブラナー監督の)も好きだけど雰囲気がこっちが好きなので1974年の方のリンクを貼りました。豪華列車に居合わせた多種多様な立場の人間達、走る密室で起きる殺人事件、見えてくる乗客達の背景、全部が絡み合ってたどり着くラストはまさしく予想外……!ポアロの洒脱な振る舞いや豪華列車の美術など、粋な雰囲気も楽しい傑作です。
キャビン
大学生達が山奥の古びた別荘に遊びに行ったらそこはどこか様子がおかしくて……ってベタベタなホラーかと思いきや、時折挟まるその場に似つかわしくないどこかの会社の会議のようなシーン。そこの繋がり、まさしく「舞台設定」が見えてくる時のえっっっこれそういう物語!!??の感覚が忘れられない。ホラー映画を知ってれば知ってるほど楽しい、いろんな怪異やモンスターてんこ盛りだし、あらゆる描写が愛に溢れたホラー映画への讃歌です。勿論ホラーを知らなくても楽しい!!
手紙は憶えている
アウシュヴィッツの収容所の生き残りの男性が、友人に託された手紙を頼りに旅して、手紙に記されたかつて家族を奪ったナチスの兵士を探しにいく物語。今も根深く続く差別に直面したり、ぶり返す過去の記憶に苦しんだり、足取りの重い旅の果てに見つかる真実がちょっととんでもないんです。誰が被害者で誰が加害者か、ある場面で視点が一気にがつんと変わる衝撃がすごくて忘れられない。
ゲット・アウト
主人公は黒人男性で、付き合ってる白人の女性の実家に遊びに行ったら大歓迎!感じの良い家族や町の人達と楽しい時間を過ごしつつ、使用人や街を徘徊する謎の男の姿、行方不明の筈の男が別人のように生活していたり、徐々に違和感を覚え始めて……町の人達の視線の意味、歓待の意味、その辺りが見えてきてどんどん鳥肌が止まらなくなります。
アフタースクール
気だるげなおっちゃん達が人探しに巻き込まれてグダグダやってるコメディと見せかけて、いろんなシーン要素が一気に一つに結びついてくる瞬間の気持ちよさ!!カメラを止めるな的な物語の裏側をのぞく答え合わせ的な楽しさがあり、人間ってこうだよねとハッとする場面もあり、すっかり手のひらの上で踊らされた完全にしてやられた気持ちよさがすごいです。水曜どうでしょうばっかり見ててごめんなさい大泉洋って芝居うま!!!!!と見た時叫んじゃいました。
トゥルーマン・ショー
ごくごく普通なアメリカの片田舎、いつも通りに仕事をして程よく楽しい日常を過ごす青年と町の人々だけど、実はその町は丸ごと作られたフィクションの世界で、青年の生活はエンタメとして外の世界に放送されていて……という自分の人生がもしかしてと疑いたくなるそんな作品。エンタメを消費する者への皮肉、全てを理解した主人公の振る舞い、最後の最後の選択と、そこのセリフや演出がすっごい粋で最高!
スラムドッグ$ミリオネア
高額な賞金が出る超有名なクイズ番組に、スラム街出身で貧しい生活を送ってきた青年が単身乗り込み最終問題まで迫っていく様を描きつつ、クイズの選択肢が青年の人生と深く絡んでいて、クイズをしながら彼の人生を追っていく物語づくり演出が秀逸です。クイズのヒントを人に聞けるいろんなシステムで人と、いろんな記憶と繋がる物語が粋!
十二人の怒れる男
とある裁判の、陪審員達の話し合いの物語。父親殺しを疑われた青年の判決は決まりかけていたけれど、ある陪審員が無実を主張して話し合いの中で他の人々も考え方が変わっていきます。ある種の安楽椅子探偵的な、部屋の中で見る資料と議論から事件の全貌が見えてくる面白さがすごい。場面としてはずっとあくまで一つの部屋の中での議論だけなのに、全く飽きない舌戦心理戦が巧みです。
以上九本でした。読んでくださってありがとうございました!
なお、社内のメンバーにおかれましてはこんなテーマの映画が知りたい!などなどリクエストもいつでも募集中ですので、リクエストありましたらslackの雑談チャンネルなどでお気軽にお声がけくださいませ。